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2008.03.11 (Tue)

聖なる黒夜 上下

聖なる黒夜〈上〉 (角川文庫)
聖なる黒夜〈上〉 (角川文庫)
  • 発売元: 角川書店
  • 価格: ¥ 860
  • 発売日: 2006/10
  • おすすめ度 5.0


3月11日読了

【More・・・】

凄い。素晴しいと言ってもいいけれども、なんといっても、「凄い」の一言に尽きる。
こんな小説を、いままで読んだことがない。ミステリとしても読めるし、恋愛小説としても読めるし、どっちも一度に読むこともできる。そしてどっちも素晴しい。綿密に、繊細に描かれている。嵐のような展開と話だ。
物語は起承転結で出来ているというけれど、この物語は「承」と「転」だけで出来ている。ちなみに、上巻のプロローグが承で、あと全部転。
「ありえないだろ!」と思われるでしょうが、本当である。「息をつかせぬ怒涛の展開」とはこういうのを言うのかと初めて思った。とにかくどこもかしこも山場で、途中で本を置けない。
解説で三浦しをんさんは「いい作品は『いい』の一言なんだよ。それ以上は野暮だ。以上!」と書いている。ほんとその通りです。どこがいいとか、そんな話は野暮を通り越して恥ずかしくなるくらいです。
しかし読んでいるとき、読了後の私の興奮を!言葉にせずにもいられないのです!


私は、恋愛小説においては、ハッピーエンドが好きです。
たとえ主人公が「幸せだなあ」と思っているとしても、愛し合う二人が「一緒に」「生きて」「幸せに」ならない話は、嫌いではないけれど、好きにもなれない。
なぜなら、歯がゆいからだ!ことあるごとにその小説を思い出して、切なくなって、「いやでもあの2人はあれでいいんだ」とか思ってしまうのは切なくていやだからだ!んもう!
でも結局結構好きだからそんなんばかり読んでいる(Mか
しかし本来は、本当は、ふたりが「好きだよ」と手に手を取って微笑む、そんなラストシーンが一番好きなのだ。
そんな私にとって、この物語はどこに行き着くのか、非常に不安だった。どう考えても幸せな最後ではない気がして、
麻生が死ぬか、山内が死ぬか、二人とも死ぬか、
の三択だと思っていた。焦燥にも似たドキドキで読み進め、ラストで心から安心した。ハッピーエンドだった。文庫下巻収録の短編「歩道」を読んで、更に強くそう思った。「そんな言葉でまとめんな!」と石を投げられてしまいそうですが、いやもうね、ほんと、三択じゃなくて良かった…。
きっとふたりは幸せになるだろうと思えるラストでした。ほんと良かった…!


この物語の何が凄いと言って、全てが転になってしまうくらい、ノンストップなのだ。登場人物のほとんどが事件の関係者、というのはまあミステリ小説のお約束みたいなもので、「ムリがあるだろ!」と私はいつも思っていたんですが、この本では全くそう思わなかった。「ま、まさか」「えー!」と麻生と一緒に驚いてばっかり。
上巻の最後、冤罪、がわかった時点では、麻生と一緒に目の前が真っ暗になった。
しかしまあやっぱり物語の概要を口で説明しようとすると、「ムリがあるだろ…」と思うので、これはとんでもなく話が「巧い」のだと思う。物語を「見せる」人なんだろうなあと。


閑話休題。
思い切り余談ですが、最初「麻生」と聞いてまずはじめに、あの政治家の麻生さんが頭に浮かび、更に「龍太郎」ではやっぱり政治家で元総理の橋○さんが浮かんだ。そうするともう「麻生」という言葉が出てくるたびに頭の中では、麻生さんが、「龍さん」が出てくれば橋○さんしか浮かばなくなってしまってかなり困ってしまいました…orz(最後までそんなんだった)


人が人を裁くことはできるのか。裁くとは、なんなのか。
私は、人に人は裁けない、と考えます。勿論、物理的に裁く場所は絶対に必要です。警察も、検察も、刑務所も。でもそれは、人々が「一応」納得する形で悪を片付ける方法でしかない。
私は、すごく恐ろしい。裁判員制度は考えると恐ろしくなる。私は誰も裁けないと思うからだ。人は誰もが関わりあって、影響しあいながら生きているけれど、誰かの人生を「意識的」に決定しまうことは、あまりに重い。


人は矛盾も、世界のひとつの真実なのだと気付いている。そして、人間の汚さや狡猾さや嘘、悪、恥、罪、堕ちるところまで堕ちた末にすること、それをこれでもかと描ききって、それでも、夜明けはくるだろうと。希望はあるのだと。



「おまえは……悪魔なんかじゃない。韮崎のあとなんか継ぐような人間じゃないんだ、ほんとは。おまえは玲子も殺せず、望月路子も北村の娘も殺せなかった。世田谷の被害者のことも憎み続けられない。それがおまえなんだ。おまえの本質なんだよ」


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